STORY開発ストーリー
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ルビロンマイスターが
できるまで
耐水性があって作業性もよいと施工現場で評価いただいているルビロンシリーズ。
中でも低臭環境対応タイプの「ルビロンマイスター」は、当社が床材施工用接着剤の開発で積み上げてきた知見の集大成です。
「ルビロンマイスター」完成までの製品開発の道のりをご紹介します。
登場メンバー
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研究開発本部
清水 -
研究開発本部
齋藤 -
営業本部
海野
画期的な「一液形」接着剤
ルビロンシリーズの誕生
清水 「開発が始まったのは1980年代前半。当時、耐水形床材施工用接着剤の主流だったエポキシ樹脂系の二液形接着剤は混合の手間、混合ミスによる施工不良や毒性の問題がありました。そこで1985年、当社は耐水形床材施工用接着剤として業界で初めて一液形ウレタン樹脂系接着剤『ルビロン101』を上市。一液形であることから、缶から出して直に使え、10~20分待つだけで床材がきれいに張れる画期的な製品として市場を席巻。創業者は特許を取得せずに、業界での一液形接着剤の普及にも尽力しました。」
齋藤 「その後シックハウス症候群などが社会問題となり、居住者と作業者の健康を守る安全で環境に配慮した製品が今後世の中に求められると考え、『ルビロン101』は原因となる有機溶剤を、他の臭気や毒性が少ないものへ切り替えを実施。さらに有機溶剤を極力減らした接着剤の開発を進め、2000年『ルビロンマイスター』の前身となる環境対応形耐水工法用接着剤『ルビロンAAA』を開発しました。」
環境対応形接着剤開発までの
道のり
清水 「床材施工用接着剤に求められる性能として、強い接着力と共に、「床をきれいに仕上げられるか」が重要です。床をきれいに仕上げるためには、床材の巻き癖を抑える初期粘着力、広い面積でも余裕をもって施工できる作業時間を確保できることが必要です。有機溶剤は、接着剤のハンドリングを良くし、また有機溶剤が揮発することで粘着力を発現させることが出来る原料です。有機溶剤を減らすことの最大のポイントはここにあります。」
齋藤 「有機溶剤の代用として考えたのが、湿気を利用する方法です。空気中の水分とウレタン樹脂の化学反応により接着剤に粘着力を発現させることにしました。」
清水 「ただ、この方法だと早い粘着力発現と充分な作業可能時間のバランスを取るのが非常に難しくて…」
齋藤 「湿気を早く取り込んで粘着力の発現を早くすると、すぐ硬化してしまい、作業可能時間が短くなる。ジレンマでしたね。」
海野 「現場の希望は常に『待ち時間は短く、作業可能時間は長く』ですからね。真逆の要望を両立しなければならない。」
清水 「当社の重合技術でウレタン樹脂の設計を見直し、地道に改良を積み重ね、無事製品化。2006年『ルビロンマイスター』が誕生しました。」
お客様の反応と重ねた改良、そして完成
海野 「製品化にこぎつけたものの、実は『床材の張り頃が分からない』という声もありました。『ルビロンマイスター』は見た目溶剤系と大きくは変わらないのですが、張り頃の確認の仕方が違うんですよね。床材施工用接着剤は施工職人さんへの認知(口コミ)の影響も大きいので、特長をご理解頂けるように、啓蒙活動、拡販には営業部門としても苦労がありました。」
齋藤 「製品特性上、『ルビロンマイスター』は温度湿度の影響を受けやすい。特に日本は四季によって温度湿度が大きく異なり、待ち時間、作業可能時間が変わってきてしまうので、その差をできるだけ少なくするように改良を進めていきました。」
海野 「開発品を現場に持ち込み、お客様(施工職人さん)の声を聞き取って、改良を繰り返しましたね。」
清水 「その時は私たちも立会いました。やはり実際の作業を見せていただけると刺激になりますし、職人の方々は本当に細かいところまでよく見ておられ、改良が甘い点もすぐに見抜かれました。」
齋藤 「それによって我々の実験データとお客様の声に、大きな乖離がなくなり、作業性が大幅に改善しました。」
海野 「2015年にリニューアルした『ルビロンマイスター』は、床材施工用接着剤の開発で積み上げてきた、当社の知見と技術の集大成ですよね。リニューアル後の評判は本当に上々。『使いやすくなった』と言われます。」
清水・齋藤 「一番嬉しい言葉ですね。」
これからの開発に向けて
清水 「以前にも増して製品の安全性、環境負荷軽減が求められる時代、近いうちに『ルビロンマイスター』の先、完全無溶剤の製品が求められると思いますので、先取りしていきます。」
海野 「企業理念-『わが社は常に時流を先取りし、未開拓の化学分野に挑戦し、ユニークな独創製品の開発供給を通じて生活文化の進歩・向上に努め、合わせて人類の発展に寄与することを目指す。』、まさにこれですね。」
齋藤 「環境問題への対応も不可欠です。例えば、環境にも配慮し、水系接着剤なのに耐水性があるものが作れたら…」
海野 「ハードルは高いですが、挑戦してみたいですね。」
清水 「当社の製品は石油由来の原料を使いますから、このままではSDGsに舵を切っている社会と逆行してしまいます。循環型社会に向けて、天然由来原料からの製品も作りたい。お客様に必要とされ、かつ今までにない製品を自分たちの手で、業界に先駆けて生み出していきたいですね。」